「税金の負担が大きいなあ。売上を減らして申告し、税金を少なくできないだろうか」
「この売上は誰にも知られていないはずだから、申告書で除外しても良いだろう」
「売上が不安定なのだから、今年の売上はこれぐらいに調整しても大丈夫だよね」
そんな風に考えていませんか?
税金を払いたくないばっかりに、売上をなかったことにして帳簿から除外してしまう誘惑にかられる人は、実はとても多いものです。
しかし売上を隠してはいけません。税務調査を受けたら最後、あなたの隠していた売上はすべて見つかり、大きなペナルティを受けることになります。
では、どのようなペナルティがあり、売上の除外がどれほど危険なことなのか、みていきましょう。
なぜ税務署はあなたの売上を知っているのか
そもそも、税務署はどうしてあなたの売上の全体像を把握しているのでしょうか。
それは税務署がさまざまな企業や個人事業主の税務調査を行っているからです。
その際、取引の帳簿や銀行の入出金記録を確認し、○月△日にXXXX円、□□会社からあなたへ送金があったことを何らかの形で見つけています。
そしてあなたの側の確定申告書に、そのXXXX円の売上が記載されていない場合、その売上が意図的に隠されていることになるのです。
また同時に、税務署は銀行の入出金履歴を確認する権利も持っているため、売上が口座振込の場合はすべて税務署に押さえられていると思って良いでしょう。
売上を抜いた場合のペナルティ
売上を抜いた場合、かならず税務署に見つけられます。
しかし、「見つかってからその分の所得税を払えば良い」と考えていませんか?
実はペナルティがあるのです。
それは本来払うべき売上に加えて、重加算税35%、さらに申告をすべきだったもともとの期限から、やむなく支払った日までの期間に9.1%の年利をかけた額を支払わなければなりません。
税務調査の結果、売上が増えますので所得税額が増え、結果として住民税や健康保険料も大幅に値上がりします。
もともと払うべきだった額よりもはるかに大きい額を支払わなければならないため、申告は最初からちゃんとしておいたほうがよほど得なのです。
その上に、税務調査で本業の手がとまり、仕事に支障を来たすことも考えられます。
税務調査は帳簿や領収書、通帳などを徹底的に確認するため、その間は仕事ができなくなってしまうのです。
税務調査ではココを見られる
実際の税務調査ではどのような箇所をチェックされるのでしょうか。
- 売上が今年の分なのに、来年にしようとしていないか
- 仕入れや外注費などで在庫や仕掛工事の項目の計上漏れはないか
- 外注費・給与の支払いが架空になっていないか
- 源泉所得税の徴収が正しいか
といった点をチェックされる傾向があるようです。
それと同時に、経費も細かくチェックされることとなります。
特に個人事業主は仕事とプライベートの境が曖昧になるため、家事按分も厳密にみられることとなります。
- 店舗兼用住宅の場合における家賃や水道光熱費
- 自分の自動車を仕事で利用する際の按分
- 携帯電話やインターネット回線などの通信費
といった項目が細かくみられるでしょう。
私的な支払いが混じってしまいがちなので、そこを厳しく追求されることになります。
もしも過去の売上を除外していたら
あなたが仮に、過去の売上を除外し、税金を少なく申告していたら、どうすれば良いのでしょうか。
その時はすぐさま修正申告を行いましょう。除外してしまった売上を、申告していなかったとしてみずから修正申告するのです。
この際に、正しく修正申告が行われ、除外してしまった売上の分を正しく申告・納税すれば安心です。
そうすれば税務調査が来なくなる確率が増えますし、来ても堂々と「申告しています」と答えることができるでしょう。
まとめ 売上除外のリスクは割に合わない
売上の除外は絶対に止めてください。
思った以上に税務署はあなたの売上の詳細を把握しています。
取引の相手方に税務調査が入ることもあり、対面調査によって相手の名簿を見られればすぐにわかることです。
税務調査があれば取引先に迷惑がかかることもあり、自分自身の社会的信頼にも響きます。
ペナルティも重たく、結局は最初から正しく納税しておけば良かったと後悔するでしょう。