青色申告を選択するためには、「青色申告承認申請書」という様式に記入し、所定の期限内に税務署に提出する必要があります。
この期限は、青色申告を開始するタイミングに応じて、以下の3パターンに分けられますので、それぞれ説明していきます。
期限内に手続きをしないと、次に青色申告を選択できるチャンスは1年後になってしまいますので、注意しましょう。
開業と同時に青色申告を選択する場合
個人事業を開業する場合、事業開始等の日から1ヵ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」(以下「開業届」)を税務署に提出しなければなりません。
この開業届だけを提出した場合、「白色申告」として取り扱われることになりますので、青色申告を選択したいときには、開業届とは別に、「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
こちらの書面は、開業届とは別に、以下のように提出期限が定められています。
- 1月1日から15日までに開業した人:3月15日まで
- 1月16日以降に開業した人:開業後2ヵ月以内
このように、青色申告承認申請書は、開業届と異なる期限が設けられていますが、青色申告を受けると決めている方は、同時に提出した方が手間が少なくて良いでしょう。
白色申告から青色申告に変更する場合
すでに開業届を提出し、白色申告として確定申告をしていた人でも、青色申告承認申請書を提出することで青色申告への切り替えが可能です。
この場合、青色申告にしたい年分の翌年の3月15日が提出期限となります。
つまり、平成29年分の事業所得を青色申告にしたいのであれば、平成30年3月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければなりません。
この期限は、平成29年分の確定申告の期限でもありますので、確定申告書を青色申告の方法により作成し、申請書も同時に提出するということになります。
個人事業を相続により承継した場合
亡くなった両親等の事業を引き継いだときには、親が青色申告をしていたかどうかによらず、あらためて青色申告を選択するかを決めなくてはなりません。
ここで、青色申告を選択したいという人は、両親等の死亡日に応じて、以下の期限までに青色申告承認申請書を提出しなくてはなりません。
- 死亡日が1月1日~8月31日:死亡の日から4か月以内
- 死亡日が9月1日~10月31日:その年の12月31日まで
- 死亡日が11月1日~12月31日:翌年の2月15日まで
青色申告を選択するために欠かせない「複式簿記」による記帳
これまで説明してきた期限内に青色申告承認申請書を提出した場合、青色申告の方法で確定申告を行なうことができるようになります。
ここで、青色申告特別控除65万円を適用し、青色申告のメリットを最大限享受するためには、確定申告の際に、収入と必要経費を集計した「損益計算書」と、資産と負債を示す「貸借対照表」を提出しなくてはなりません。
これらの帳簿を正しく作成するのは、経理や簿記に知識がない人でなければ難しいかもしれません。
しかし、難しいからといって、正しい記帳処理をせずに放置していると、税務署から調査を受け、青色申告の取り消しという処分を受けかねませんので、注意しておきましょう。
* 本記事中で記載している各書面の提出期限が土日祝日等の場合は、これらの日の翌日が期限となります。