知っておきたい!意外と身近な『医療費控除』

知っておきたい!意外と身近な『医療費控除』

会社員であれば、給与担当者が税金の手続きをしてくれますので、
確定申告は関係ないことだと思っている方も多いのではないのでしょうか?

しかし、医療費控除は意外と身近なのです。

これを読めば、あなたも医療費控除によって節税できるかもしれません。
医療費控除を分かりやすくお伝えします!

医療費控除とは?

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己の生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、
その支払った医療費が一定額を超えるときは、
その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

出典:国税庁HP(2018/1/19)

医療費控除の対象となるものは?

  • 医師または歯科医師による診療又は治療のための費用
  • 治療または療養に必要な医薬品の購入費用
  • (病院で処方された薬だけではなくドラッグストア等で購入する市薬品も対象です。)
  • あん摩やマッサージ指圧師、はり師などの国家資格を持つものによる体の不具合を改善するための施術費用
  • 保険師や看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話のための費用
  • 体の不具合症状を改善するための医薬品である栄養ドリンクやビタミン剤の一定の条件を満たすものの購入費用
  • 病院へ通院するための交通費や宿泊費
    (タクシーは症状などからみて乗車する必要があった場合。宿泊費も近場の病院では対処できないなどの理由が必要です。)
    ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。
  • 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務を提供するための費用
  • 子どもの歯の矯正
    (大人の歯の矯正は控除対象となりません。子どもは歯の矯正によって体調に変化があるといわれているため、医療費控除の対象となります。)

医療費控除の対象とならないものとは?

  • 医師や看護師への心づけ
  • 健康診断の費用
  • 美容医療
  • 近視や遠視矯正のための眼鏡や、補聴器等の購入費
  • お見舞いのための交通費やガソリン代など

医療費控除の計算方法は?

医療費控除は総所得が200万以上の場合と200万未満の場合で計算方法が変わってきます。

総所得が200万円以上の場合

支払った医療費(年間)-保険金等で補填される金額-10万円 = 医療費控除額

(最大 200万円まで)総所得が200万未満の場合

支払った医療費(年間)-保険金等で補填される金額-総所得の5%=医療費控除額

(最大 200万円まで)

保険金等で補填される金額とは?

(例)生命保険契約などで支給される入院給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額に生じた場合であっても他の医療費から差し引きません。

出典:国税庁HP(検索日2018/1/19)

医療費控除の提出書類は?

医療費控除の明細書

最寄りの税務署や国税庁のHPから様式を取りせることができます。

「医療費控除の明細書」の様式に、1年間にかかった医療費等について記載します。

健康保険組合から発行される一定期間に利用した医療費の通知書

29年分から医療費の領収書の提出が不要となりました。

しかし、確定申告期限から5年間、税務署から領収書の提示又は提出が求められる場合がありますので、家でしっかりと保管するようにしましょう。

また、平成29年分から令和元年分までの3年間については、医療費控除の明細書ではなく今までどおり、医療費の領収書を提出しても構いません。

29年分から確定申告の「医療費控除」が変わりました!

平成29年分から医療費控除について一部改正がありました。このことによりいままで医療費控除を受けられなかった方でも節税できる可能性が増えています。

医療費の領収書の代わりに「医療費控除の明細書」の提出

いままでは、医療費控除の際には「領収書」を提出するのが原則でしたが、29年分から健康保険組合から発行される一定期間に利用した医療費の通知書が利用できるようになりました。

セルフメディケーション税制(スイッチOTC医療費の医療費控除の特例)」と医療費控除の選制となった

平成29年分からセルフメディケーションか医療費控除のどちらかを選択できるようになりました。

セルフメディケーション税制とは?

健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、平成29年1月1日以後に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。

出典:国税庁HPより(検索日 2018/1/19)

対象となる医薬品は?

厚生労働省のWebサイトに掲載されている医薬品(2019.1現在、1,718品目)が対象となります。

なお、対象製品の多くに下図のような共通識別マークが入っています。

セルフメディケーション税控除対象

セルフメディケーション税制の適用を受けるための要件

セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている居住者が対象となります。

具体的には、次の取組が、「一定の取組」に該当します。

  • 保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドッグ、各種検診等)
  • 市区町村が健康増進事業として行う健康診査
  • 予防接種
  • 勤務先で実施する定期健康診断
  • 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
  • 市町村が健康増進事業として実施するがん検診

平成 28 年厚生労働省告示第 181 号

申告した人が、「一定の取組」を行っていることが要件となるため、これらの取組を行っていない場合は、セルフメディケーション税制の適用を受けることはできません。

セルフメディケーション税制の計算方法とは?

セルフメディケーション税制による医療費控除額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入合計額から1万2千円を差し引いた金額です。(最高8万8千円)

いま一度、医療費控除の対象にならないか確認してみましょう。

医療費控除は、離れて暮らす親や子どもの医療費も生計を一にしていれば合わせて確定申告をすることができます。

家族が多いのであれば、医療費、市販薬やビタミン剤、ドリンクなどを合わせると10万円を超えてくることも少なくありません。

また、29年分の確定申告から始まったセルフメディケーション税制であれば少ない金額からでも確定申告の対象となります。

いま一度、確定申告で控除の対象になるかどうか確認してみましょう。もしかしたら、申告することで節税できるかもしれません。