自宅で仕事をしている個人事業主は、確定申告の際、家賃や光熱費を家事按分して経費として落とすことができます。
なかには、それらを経費として落とさないまま確定申告している方もいますが、これは大きな損失です。
家賃、光熱費を経費として落とせば、大きな節税となります。
その方法を知って、節税に役立てましょう。
家賃や光熱費は家事按分を経費として計上する
自宅と仕事場を兼用している場合、家賃や光熱費の支出はプライベートと仕事の両方が含まれていますので、仕事に使用している部分を一部経費として計上できます。
このことを家事按分といいます。
所得税基本通達 家事関連費(第1号関係)
令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得または雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。
出典:国税庁(検索日2018/1/4)
自宅を仕事場と兼用している場合、その割合が50%を超えるかどうかで判断されますが、それ以下であっても、明確に仕事で使用していることを証明することができれば、経費として計上することができるという考えです。
■家賃
自宅が賃貸の場合
自宅が賃貸の場合は、家賃に仕事で使用している自宅の床面積の割合で家事按分し、算出します。
(例)自宅の床面積40%を仕事場として使用しており、
家賃が月額10万円である場合
100,000円 × 40% = 40,000円
自宅が持ち家の場合
自宅が持ち家の場合は、家屋の減価償却費、住宅ローンの金利、固定資産税を経費として落とすことができます。
それらに賃貸と同じく仕事に使用している自宅の床面積分を家事按分して経費を算出します。
毎月支払っている住宅ローンの元本部分は経費となりませんので注意しましょう。
(例)自宅の床面積40%を仕事場として使用しており、
固定資産税が月額20万円である場合
200,000円 × 40% = 80,000円
住宅ローン控除を受けている場合には、その2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであることが必要となりますので、家事按分する際には注意しましょう。
水道光熱費
電気料金、水道代、ガス代も経費と落とすことができます。
電気料金
電気料金は床面積の割合で計算する場合とコンセントの数で計算する場合があります。
床面積で計算する
(例) 自宅床面積の40%を仕事場として使っていて、電気料金が月額2万円の場合
20,000円 × 40% = 8,000円
コンセントの数で計算
(例) 自宅のすべてのコンセントが20個、そのうち仕事場の使っているコンセントが5個、電気料金が月額2万円の場合
20,000円 × 5/20個 = 5,000円
ガス料金・水道料金
水道料金、ガス料金も床面積の割合を案分計算して経費として落とすことができます。
ただし、料理教室などの仕事をしているのであれば、経費として計上してもいいですが、ほとんど水道やガスを使用する仕事でないのであれば、経費として計上することは控えたほうがいいでしょう。
火災保険料
火災保険料は仕事で使用している自宅の床面積の割合で家事按分し、経費として落とすことができます。
(例)自宅の床面積40%を仕事場として使っていて火災保険料が月額2千円の場合
2,000円 × 40% = 800円
通信費(電話代、インターネット料金)
通信費は使用日数から計算する方法と使用時間から計算する方法があります。
使用日数から計算
(例)仕事で使用する日数が1週間のうち5日、通信費が月額2万円の場合
20,000円 × 5/7日 = 14,000円
使用時間から計算
(例)仕事で使用する時間が1日12時間、通信料金が月額2万円
20,000円 × 12/24時間 = 10,000円
プライベートスペースと仕事場は明確に分けておこう!
今回、例として記載したものは月単位で経費を算出しましたが、年間まとめて家事按分する方法でも構いません。
もっとも大切なことは、税務署から質問を受けたときに経費の算出過程を根拠づけて説明できるよう準備しておくことです。
自宅と仕事場を兼用している場合、どうしてもその境界線があいまいになってしまいます。
しっかりと説明できるようにしておくためにも、あらかじめプライベート空間と仕事場は明確に分けておくようにしましょう。