『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー

世界的ベストセラー『7つの習慣』。ビジネス書として捉えられる事が多いですが、実際には、仕事、家庭、個人、について通じる哲学書といえます。
著者のスティーブン・R・コヴィーは2012年に惜しくも亡くなりましたが、今でも世界中で関連セミナーが行われています。

経営者として、決めなければならない事、考えなければならない事が沢山あると思いますが、その際に頭にちらつく雑念・邪念に悩まされた経験がありませんか?
重要な決定事項に集中しているのに、「あの人が反対しそうだ…そうしたら事態はこうなりそうだ…」。

雑多な日々に対して、何か足枷をつけられている、そう感じることはありませんか?
「こんなくだらない事に、時間を割かないとならないなんて…」。

主観と客観を容易にコントロールして、自分はどうしたいのか、どうすべきなのか、理性で判断したい。
不毛な怒り、いら立ち、不安、ネガティブな感情に捕らわれてがんじがらめになっている自分を解放したい。
言わずと知れたこの名著は、思考の整理に役立ちます。

今回は、『7つの習慣ナナメヨミ』としてご紹介します。
書店でみかけて、あんな分厚い本は今はムリ、という方もこれを読めばざっくりと内容を掴めます。

第一の習慣 「主体的である」

刺激と反応の間には選択の自由があるという原則を説明しています。
自分に起こる事(刺激)に対して、即座に感情的に反応していないかだろうか?
その時どう行動するか、どんな態度をとるか、どう感じるか、を選択する自由がある。
選択する意思をもって、「選択」する、それが主体的であると論じています。

反応的な言葉主体的な言葉

  • 私にできることは何もない
  • 私はいつもこうやっている
  • あの人は頭にくる
  • そんなことが認められるわけがない
  • 私はそれをやらなければならないのか
  • 私はできない
  • 私は・・・しなければならない
  • 〇〇でさえあれば

主体的な言葉

  • 私は別の案を考える
  • 私は他のやり方を探す
  • 私は気持ちを抑える
  • 私は効果的なプレゼンテーションが出来る
  • 私は適切な対応を選ぼう
  • 私は選択する
  • 私は・・・の方がよい
  • 私は・・・しよう

 第二の習慣 「終わりをおもい描くことから始める」

各章のタイトルをサッと読んだときに腑に落ちないのが「第二の習慣 終わりを思い描くことから始める」かもしれませんが内容はとてもイメージしやすい事柄です。

自分の葬儀をイメージし、誰が参列しているだろうか?誰が悲しんでいるだろうか?自分のどんな事を懐かしんでいるだろうか?

そういった事から、自分の人生における「中心」を明らかにすることを説いています。

「家族」が中心、「友人」が中心、一見すると自然の事だったり良い事であるように思えますが、それがもたらす弊害を一覧にしています。

配偶者が中心だったら

  • 心の安定は相手の行動や態度に左右される
  • 自分の進む方向は、相手のニーズや欲求で決まる

家族が中心だったら

  • 心の安定は家庭の状況で変化する
  • 行動は、家族のルールや伝統に制限される

仕事が中心だったら

  • 行動は、所属する組織の規模、ある年齢になったら今の仕事はできなくなる制約に縛られている
  • 仕事に必要かどうか、会社に求められているかどうかを基準にして自分の意志を決める

自己が中心だったら

  • 心は絶えず不安定である
  • 自分の気分がよくなるか、自分が欲しいものは何か、自分にとって利益があるかを基準に物事を判断する

「ほとんどの人間が、複数の中心を組み合わせてもっており、今の状況が要求する事柄が満たされれば、今度は別の中心が生活の主導権を握る」
と説明されています。

そこで、原則を中心にもつと心の平安が保たれると結論付けています。

原則が中心だったら

  • 自分の人生において、自分の体験を通して、真の原則を実証できると知っている
  • 現在の経済的制約や周りの状況の制約に左右されずに主体的に決断し、行動する

第三の習慣 「最優先事項を優先する」

前章で、自分のお葬式をなかなかイメージ出来なかった方も、この章はスッと入って来るのではないでしょうか。

日々の雑務の中には、緊急性の高いものそうでないもの、だけではなく緊急性は低いが重要度の高いものがあります。

それを整理し、「最優先事項を優先する」ことを説いています。

緊急緊急でない
重要第一領域:
危機への対応
差し迫った問題
期限のある仕事
第二領域:
人間関係づくり
準備や計画
心身をリラックスさせること
重要でない第三領域:
多くの電話、メール、会議、報告書
無意味な接待や付き合い
期限のある催し物
第四領域:
取るに足らない仕事、雑用
暇つぶし
快楽だけを追求する遊び

第一領域は、自ずとやらざるを得ない状況に置かれます。第二領域と第三領域を意識して、優先順位を決めていきましょう。

第四の習慣 「win-winを考える」

この章で述べられている概要は、

  • 成熟した人間とは、「勇気と思いやりのバランスがとれていること」である
  • 人間関係の根底に置くべき大切な点は相手の考え方や感情に配慮しながら、自分の気持ちや信念を言えること
  • すべての関係者が充実した人生を生きられるようにすることがリーダーの基本的な役割である

ということです。

人間関係において、
win-win、win-lose、lose-win、lose-loseの4タイプの関係性があり、
win-winの関係を築く重要性を述べています。

第五の習慣 「まず理解に徹し、そして理解される」

人の話を聞くときに、誰しも自分の経験を通して聞いてしまうので、次の反応をしてしまいます。

  • 評価する
  • 探る
  • 助言する
  • 解釈する

どんなに相手の為に聞き、助言をしたつもりであっても、自分の経験を押し付けたのでは相手を理解することはできません。

まずは、相手の目が見たもの、心が感じたもの、それが何なのか理解に徹するために耳をかたむけるのです。

それから相手の視点になって、自分の考えや立場を説明し理解してもらうことが重要です。

第六の習慣 「シナジーを創り出す」

ビジネスパートナーであっても親子であっても親友であっても夫婦であっても、自己と他人であることを理解し行動することこそ、深く理解し合うことが出来るようになり、新しい力を生み出す基礎となります。

内面が安定しない人は、どんな現実にも自分の主観を押し付け、他者を自分のクローンに改造しようとし、それが不可能であることを受け入れられずに苦しむことになるのです。
多方面で、パートナー関係というものは、お互いの違いを認め、理解し、お互いに価値を置いたときに新しい力を創る化学反応を起こします。
この章では、その化学反応をシナジーと呼んでいます。

第七の習慣 「刃を研ぐ」

毎日、仕事や家庭での役割に追われる中でも、次の4つの側面をバランスよく自己鍛錬するための時間をつくり出さなければなりません。

  • 肉体…運動、休養、リラックス
  • 社会、情緒…他者との関係
  • 精神…音楽、文学、瞑想、自然
  • 知性…読書、勉強

これらの4つの側面は個人だけではなく、組織にもあてはめることが出来ます。

  • 肉体…経済性
  • 社会、情緒…人間関係やスタッフの処遇
  • 精神…ミッション、ビジョン
  • 知性…人材を発掘し、有効活用すること

組織も当然、4つの側面をバランスよく鍛錬しなければなりません。

まとめ

自己啓発本、というカテゴリに拒否反応がある方にも、スーッと入って来る内容だと思います。
新しい気づきを得るというよりも、感情や人間関係、物事の核心を整理していくので、
500ページを超える量ですが、集中力を維持して読むことが出来ます。
是非読んでみてください。