徐々にメリットが知られるようになった「合同会社」ですが、スモールビジネスのための会社形態と捉えている方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、スモールビジネスの対極ともいえるような大資本のグローバル企業もいまや続々と合同会社へ移行しているのです。
その理由を知ると、規模の大小があるとはいえ、様々なビジネスに適した会社形態を考えるヒントになります。
今回は大企業が合同会社に移行する理由についてご紹介します。
グローバル大企業が合同会社を日本でつくるのはなぜ?
聞きなれた有名企業ですが、公式HPをのぞくと、○○合同会社になっているのは、以下の会社です。
- 西友
- アマゾン
- オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン
- アップルジャパン
- ユニバーサルミュージック
- P&Gマックスファクター
- フジテレビラボ
これらの会社の資本は5億、8億といったレベルです。
このような大企業が、合同会社へ移行することで受けるメリットとは、どのようなものがあるのでしょうか。
合同会社に移行する理由1.シンプルな会社構造で、スピーディな運営ができる
合同会社の特徴を簡単にまとめると、
- 社員全員が、有限責任社員。これは株式会社の株主と同じです。
- 定款に関連する手数料は不要。登記免許税6万円のみ
- 役員に任期がない
- 出資の割合と異なる割合で配当する事も可能
- 決算公告の義務がない
- 経営破綻した際の責任は出資した範囲内(有限)のみ
といったところです。
資本金5億円以上又は負債200億円以上は、株式会社会社の場合、「取締役」と「代表取締役」、「監査役」、「会計監査人」が必要となります。
合同会社では業務執行社員と代表社員だけでも可能なのです。
出資者みずからが業務を執行するため、柔軟で素早い意思決定ができるようになるので、スピーディな会社の運営ができるといえるでしょう。
合同会社に移行する理由2. 登録免許税にかかるコストが抑えられる
外資系企業には、登記変更が多くみられます。
株式会社では、増資する場合にも登録免許税は増資額の7/1000の税金がかかりますが、合同会社の場合、増資金額の全額を資本剰余金とすることができ、資本金の増加額を0円とすることも認められています。
合同会社に移行する理由3. 合同会社は日本の会社法監査対象外
資本金5億円以上等の株式会社は、監査対象となります。
合同会社の形態をとれば、外資系企業の場合は本国の監査が済んでいる状態ならば日本で重複して監査を受ける必要はありません。
決算開示も義務付けられてはいません。
監査対応や監査費用は、多くの時間とコストを消費しますから、効率の良い方法といえます。