合同会社は、一般的には、少人数で経営する業種や規模の小さな会社に利用されることが多いといえます。
しかし、2016年5月1日にアマゾン・ジャパンが株式会社から合同会社に組織変更したことが記憶に新しいほか、アップルジャパン、西友、シスコシステムズ、PWCジャパンなど複数の有名企業が合同会社という形態を採用しています。
このように小さな会社から有名企業まで利用される合同会社に適した業種と会社像について合同会社の特徴から整理してみたいと思います。
1.合同会社が向いている業種
所有と経営の一致とは
株式会社と比較した場合、合同会社では所有と経営が一致していることが特徴となります。
株式会社では、出資者である株主は会社を所有するにとどまり、経営自体は経営のプロである取締役などに任せるという形態を基本としています。
このような状態を「所有と経営の分離」と呼んでいます。これに対して、合同会社では、出資者である社員が自ら経営に関与します。このような状態を「所有と経営の一致」と呼んでいます。
迅速な意思決定という観点
所有と経営が一致している合同会社では、意思決定を迅速に行うことができるというメリットがあります。
そのため、個人事業から法人成りしたり、1人起業したり、家族経営で行う様々なスモールビジネス(デザイナー、プログラマー、セミナー業)にも利用しやすい会社形態ということができます。
損益分配の自由度という観点
合同会社では、損益の分配を出資割合ではなく、職務内容や会社への貢献度に応じて設計することが可能です。
したがって、資金力はなくても専門能力などを持っているメンバーが経営に関与することも可能となります。
そのため、研究開発企業やコンサルティングファームなどの専門的能力が必要とされる業種にも適した会社形態ということができます。
会社の知名度という観点
合同会社という名称は知名度としてはあまり高くありません。
そのため、取引先や顧客に与えるイメージや信用という意味で不安視される場合もあります。
逆に、取引先や顧客が相手先の会社形態を気にしないような業種では合同会社でも問題ないといえます。
たとえば、飲食店、サロンなどの店舗型ビジネスや現金商売である業種にも活用しやすい会社形態ということができます
合同会社として想定されている会社像
合同会社では、不特定多数の出資者から出資を受け入れることは想定されていません。
所有と経営が一致する合同会社では、出資者が経営に関与することになるからです。
そのため、株式会社では、社員の権利である株式が譲渡されたり、取引所に上場(株式公開)したりすることもありますが、合同会社では、あくまで少数のメンバーしか参加しないということが想定されています。
まとめ
以上のように、積極的に合同会社の特徴を活用している場合と、とりあえず設立費用が安い合同会社を活用していると場合があります。
ご自身が起業する際には、株式会社という選択肢だけでなく、会社運営の自由度が高い合同会社の活用を一度は検討してみるのが良いのではないでしょうか。
その際には、今回ご紹介したような整理の仕方もお役立ていただければと思います。
特徴 | 合同会社を積極的に利用 | 設立費用が安い合同会社でOK |
---|---|---|
迅速な意思決定 (所有と経営の一致) | アマゾン・ジャパンなど有名企業 | スモールビジネス(デザイナー、プログラマー、セミナー業) |
損益分配の自由度 | 研究開発企業やコンサルティングファームなどの専門的能力が必要とされる業種 | |
会社の知名度 | 飲食店、サロンなどの店舗型ビジネスや現金商売 |