デール・カーネギーの『人を動かす』
国内で430万部、世界で1500万部以上を売り上げているそうで、自己啓発本を代表する1冊と言えます。
1937年に初版が発売され、80年たった現在においても、経営や人間関係に通用する名言が散りばめられています。
「部下がいう事を聞いてくれない」、「同僚の行動が理解出来ない」、「上司に思いが伝わらない」。
職場で自分の思い通りにいかずにストレスに感じていませんか?
もしくは、職場で自分の思い通りに事を運ぶなんて不可能、と諦めていませんか?
人を動かすには、相手の視野を理解するという姿勢に徹する事。
潤滑なコミュニケーションを取りながら、人を動かすことで仕事の運びが一気にストレスフリーになります。
『人を動かす秘訣は、まちがいなく、ひとつしかないのである。
すなわち、みずから動きたくなる気持ちを起こさせること』
脅しを突き付けて命令に従わせる、子どもに対してお仕置きをちらつかせながら言う事を聞かせる、
このようなやり方が、長期的に見れば効率が悪いという事をほとんどの方が理解しているでしょう。
しかし、不可解な行動をする部下や子どもを目の前にすると、「いいからやりなさい!」と、大声を出して今すぐに従わせたくなるものです。
相手は何を欲しがっているのか?それを見越すことで熱意を呼び起こすのです。
『深い思いやりから出る感謝のことばをふりまきながら日々をすごす、これが友をつくり、人を動かす秘訣である。』
『わたしはイチゴミルクが大好きだが、魚はどういうわけかミミズが好物だ』
誰しも、自分のことで頭がいっぱいであり、他人は自分に対してさほど興味はもってはくれません。
人を動かすには、その人の好むものを問題にするべきで、自分の好みを持ち出していては話は進みません。
釣り針には魚の好物をつけるにかぎる、と著書には書かれています。
筆者は釣りが趣味ですが、魚の好物と言っても千差万別です。
同じ魚でも、その時々で好む餌は変わり、捕食する場所も、日陰、深み、浅瀬、と変わります。
その人の立場に身を置くことで、相手の好物に想像力を働かせることが出来るでしょう。
『常に相手に重要感を持たせること』
重要な人物になりたい、この願望は人間が動物とは区別される故の願望でもあります。
この願望を本能的にもっているからこそこれまでの発展を遂げたのです。
『心から認め、惜しみなく褒め』て、誰しもが抱く願望を満たそうと接することで重要感を与えます。
例えば、職場に整理整頓が得意で、机の上の片付けだけでなくデータフォルダの整理も怠らない人がいたとします。
その人の担当の進捗が遅れている際に、「整理整頓ばかりしていないで、〇〇もしっかりやって」と注文するのでは全く効果がありません。
相手の抱いている、自己重要感を粉々に砕いてしまう失言でしょう。
「そこまでやらなくても」、「ほかにもっと重要な事が」という想いは、あくまでも自分の想いであり、相手に伝える必要は全くないのです。
『ふたりの人間がいて、いつも意見が一致するなら、そのうちひとりはいなくてもいい人間だ』
意見の相違があったとき、怒りがこみ上げてきたことがありませんか?
考えを述べるのは、勝負ごととは違います。
論破したら勝ちではなく、よりよい結論を導くために議論していることを忘れてはいけません。
相手が、怒りの形相で自分と異なる考えを押し付けてくると、こちらも応戦したくなるのは当然です。
しかし、そこから始まるのは全く関係のない事項の醜い口争いです。
感情に流されず、本来の目的を遂行することが出来るのは人間だけの能力です。
相手が感情的に攻撃してきたら、大型犬が吠えていると思って議論の軌道修正をして対応しましょう。
『他人の考えを変えるさせることは、最も恵まれた条件のもとでさえ、大変な仕事だ。』
相手の誤りが、確かに間違いだということが確実だとしても、それを正面から指摘するとどうなるでしょうか。
冷静に受け止め、『確かに間違えていた』と反応する可能性はほとんどありません。
事実がどうであれ、感情や自尊心が傷つけられるのです。
その場で考えを変えるということがどれほど難しいか、想像に難くないと思います。
相手を説得したければ、相手に気づかれないように、誰にも感づかれないように、巧妙にやることだと書かれています。
まとめ
この著書は80年前に出版された書籍ですから、時代を感じる箇所も散見されます。
しかし大事なポイントは今も昔も変わらない、シンプルなコミュニケーションであるという事がこの著書を読むと理解出来ます。
つい忘れがちな、コミュニケーションの重要ポイントを洗い出し、職場や家庭の人間関係を明るくする手助けになるでしょう。
人間関係に悩んでいなくても、気づきを多く得られる、カーネギーの『人を動かす』。
まだ読んだことが無い方は是非読んでみてください。