事務所兼自宅は経費になるの?

事務所兼自宅は経費になるの?

1つの物件を事務所と自宅の両方に使用する場合もあると思います。

そのような「事務所兼自宅」も会社の経費とすることは可能です。

ただし、その物件が「個人名義」か「法人名義」か、また「賃貸」か「持ち家」かによって注意すべきポイントが変わってきます。

以下では、「1.個人名義の賃貸物件の場合」、「2.個人名義の持ち家の場合」、「3.法人名義の場合」に分けて解説したいと思います。

個人名義の賃貸物件の場合

事務所兼自宅が個人名義の賃貸物件の場合、会社から個人に対して支払っている賃料を会社の経費として処理することは可能です。

その前提として、個人と会社の間で「賃貸借契約書」を締結して、権利義務関係を客観的に明示できるようにしておくことが重要です。

会社から個人に対して支払う賃料は、事務所部分と自宅部分の床面積を使用している割合で按分して、事務所部分に相当する賃料となるようにします。

個人側では賃料を受け取ることにより、不動産収入が発生しますが、個人から物件オーナーに対して賃料を支払っているため、結果として、確定申告不要になるケースが多いと考えられます。

個人名義の持ち家の場合

事務所兼自宅が個人名義の持ち家の場合も、会社から個人に対して支払っている賃料を会社の経費として処理することは可能です。

賃貸物件の場合と同様、個人と会社の間で「賃貸借契約書」を締結して、権利義務関係を明確にしておきます。

事務所部分と自宅部分の床面積で按分計算を行う点も賃貸物件の場合と同様に考えれば良いでしょう。

個人側では不動産収入が発生しますので、確定申告が必要となります。その際には、自宅の減価償却費、固定資産税、借入金利息などが経費になると考えられます。

法人名義の場合

事務所兼自宅が法人名義の賃貸物件の場合、業務に使用する床面積の割合で算定した事務所部分に相当する賃料は、当然、会社の経費になります。

一方で、自宅部分に相当する賃料も社宅の費用として会社の経費になります。この場合、会社が個人(役員)から一定の家賃を受け取っていれば給与所得として課税されません。

水道光熱費などの経費はどう処理する?

電気、ガス、水道などの水道光熱費、電話代やインターネット使用料などの通信費は、事務所分と自宅分を明確な基準で区分することで会社の経費として計上することができます。

使用する床面積で按分するのも1つの方法ですが、それぞれのサービスごとに使用状況が異なると考えられるため、合理的な基準で按分するようにします。

まとめ

以上のように、経費計上するためには、個人と会社の間の権利関係や合理的な按分基準を用意することがポイントとなります。

そのため、按分基準などに関して、税務署との見解の相違がある場合には、否認されるリスクがある分野でもあります。

また、住宅ローンを組んでいる場合には、住宅ローン控除や住宅ローン自体が利用できなくなる可能性もありますので、その点も合わせて注意が必要です。