クレジットカード利用明細は領収書の代わりになるのか?

クレジットカード利用明細は領収書の代わりになるのか?

店舗でクレジットカードを利用して買い物をすると、レジで店員さんから「カードのお客様控とレシートです」として2種類の伝票をもらうことがあると思います。また、クレジットカード会社からは毎月の利用明細が送られてくることが多いと思います。それでは、これらの書類は領収書の代わりとなるものでしょうか。以下では、それぞれの書類に分けて解説したいと思います。

クレジットカードの利用伝票(お客様控)

利用伝票(お客様控)

クレジットカードで買い物をした際には、「クレジットカードご利用票」、「クレジット売上票」、「クレジットカードご利用控え」、「クレジット利用お客様控え」などのタイトルがついた利用伝票(お客様控)を受け取ります。

これらの利用伝票(お客様控)は領収書そのものとはいえません。なぜなら、実際には金銭の受領を伴っていないためです。

ただし、通常は下記のような事項が記載されているため、領収書の代わりにはなるといえます。

  1. 作成者の氏名または名称
  2. 年月日
  3. 商品またはサービスの内容
  4. 商品またはサービスの金額
  5. 交付を受ける者の氏または名称

クレジット利用時の領収書、レシートなど

それでは、クレジットカードを利用した際に「領収書」や「レシート」が発行された際の取扱はどのように考えればよいでしょうか。

たとえば、印紙税の取扱でいうと、金銭などを受領していない場合に発行されたものは、タイトルが「領収書」になっていても、「第17号文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)」には該当しないとされています。

そのため、但し書きに「クレジットカード利用」などと明示されている「領収書」に関しては、収入印紙を貼って印紙税を納付する義務はありません。逆に、そのような記載のない「領収書」は第17号文書に該当するため、印紙税を納付する必要があるということになります。

(ご参考)
国税庁質疑応答事例(印紙税)「クレジット販売の場合の領収書

なお、領収書はそもそもタイトルで判断されるものではなく、「仮領収書」や「レシート」という名称のものや、相済、了、領収などと記載された「お買上票」、「納品書」なども第17号文書に該当するとされています。

(ご参考)
国税庁質疑応答事例(印紙税)「金銭又は有価証券の受取書とは

クレジットカードの利用明細

上記の利用伝票(お客様控)などの取扱に対して、クレジットカード会社から送付される利用明細は領収書ではありませんし、領収書代わりにもならないのが原則です。なぜなら、クレジットカード会社は商品やサービスを提供した事業者ではないからです。

そのため、クレジットカード会社の利用明細は、たとえば、消費税で仕入れ税額控除を行う根拠となる領収書(消費税法第30条第9項に規定する請求書等)としては認められていません。

(ご参考)
国税庁質疑応答事例(消費税)「カード会社からの請求明細書

まとめ

~経費処理の根拠資料となるかどうか~

以上は、印紙税、消費税の取扱を参考にした考え方ですが、実際に法人税や所得税で経費(損金)として認められるかという観点で言えば、クレジットカード会社の利用明細が認められないという訳でもありません。事業のために支出したという事実が合理的に証明できるように資料を保管しておくのが原則論です。それを念頭に可能な範囲で管理レベルを向上させていくという姿勢が大切といえるでしょう。