会社設立時の労働保険(労災保険、雇用保険)加入手続き

代表者1人、もしくは家族従業員のみの会社設立の場合は、この手続きは不要ですが、家族従業員以外の労働者を1人でも雇ったらこの手続きを行うことになります。

労働保険の対象

労災保険についても、雇用保険についても家族従業員・役員は原則対象外です。

役員であっても、労働者としての業務を行っている場合は兼務役員として手続きします。

労災保険

労働時間などに関係なく労働者全員が加入します。

雇用保険

週20時間以上・31日以上雇用見込みの者が加入対象となります。

労働保険の手続き

労働保険の加入手続きとして、「労働保険 保険関係成立届」「労働保険 概算保険料申告書」 を労働基準監督署に提出します。

労働保険 保険関係成立届

会社を設立し、労働者を1人でも雇った場合は、この届出が必要です。下記の添付書類が必要です。

記入例

労働保険 保険関係成立届

添付書類

  • 法人登記事項証明書
  • 賃貸借契約書の写し(事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合)

提出期限は、1人目の労働者を雇ってから10日以内ですが、こちらも法人登記事項証明書が用意できないと実務上手続きができないため、書類が揃い次第提出します。

労働保険概算保険料申告書

労災保険と雇用保険の保険料についての届出書となります。

記入例

労働保険概算保険料申告書

「労働保険 保険関係成立届」と別の日に提出する場合は、「労働保険 保険関係成立届」が添付書類として必要となりますので、できるだけまとめて提出しましょう。

労働保険の年度は、4月1日から翌3月31日になります。設立時には、雇入日からその後3月31日まで従業員の賃金を見積り、労働保険の概算保険料を計算し納付(前払い)します。

労働保険料は年度毎に精算したうえで、翌年度の概算保険料もあわせて7月10日までに支払います。設立時の次は、翌年7月10日までに前年度の確定保険料と翌年度概算保険料を納めることになります。

なお労災保険料率は業種ごとに違う保険料率が設定されており、建設業・製造業など危険業種が高めになっています。

労災保険料率の例

  • 建設業 …0.75%~8.9%
  • 運輸業 …0.45%~1.6%
  • 卸売、小売、飲食店、宿泊業 …0.35%
  • 介護、ソフトウェア開発など …0.3%

雇用保険の手続き

加入の手続きとして、「雇用保険 適用事業所設置届」、「雇用保険 被保険者資格取得届」を ハローワークに提出します。

適用事業所設置届

雇用保険の対象者を1人でも雇った場合は、この届出が必要です。下記の添付書類が必要です。

適用事業所設置届

書類

https://hoken.hellowork.go.jp/assist/600000.do?screenId=600000&action=koyohohiLicenceLink

添付書類

  • 法人登記事項証明書
  • 賃貸借契約書の写し(事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合)
  • 労働保険 保険関係成立届(労働保険番号が付されたもの)
  • 労働保険 概算保険料申告書(事業主控)
  • 法人設立届けまたは公共料金請求書

提出期限は、1人目の労働者を雇ってから10日以内ですが、こちらも法人登記事項証明書が用意できないと実務上手続きができないため、書類が揃い次第提出します。

被保険者資格取得届

雇用保険の対象となる労働者に関して加入手続きを行います。中途入社の場合は、従業員の前職の雇用保険被保険者証をもとに被保険者番号を記入します。

記入例

被保険者資格取得届

書類

https://hoken.hellowork.go.jp/assist/600000.do?screenId=600000&action=koyohohiLicenceLink

平成28年よりマイナンバーの記入が求められています。記入にあたっては、会社として対象者の本人確認と身元確認を行う必要があります。
資格取得すべき日の翌月10日までが提出期限です。
初めて資格取得届を出す場合は、賃金台帳・労働者名簿・出勤簿といういわゆる法定三帳簿も持参する必要があります。

雇用保険料率(平成29年度)

労働者負担事業主負担
一般の事業3/1,0006/1,000
建設業4/1,0008/1,000
農林水産・清酒製造業4/1,0007/1,000