創業融資って色々面倒?わからない事はプロに聞こう!
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公庫と制度融資のダブル申請は可能ですか?

創業時の融資といえば、日本政策金融公庫の新創業融資と各自治体の制度融資の2つが代表格です。
この2つはそれぞれ審査基準が異なる別の制度ですので、ダブル申請することも可能です。
融資金額はいずれも1,000万円から1,500円程度が上限ですので、「店舗開業などで2,000万円くらいは借り入れしたい」という場合には両方に申し込むのも良いでしょう。
ただし、どちらか一方しか借りる予定がないのに、同時に話を進めるのは考え物です。
せっかく審査が進んでいる状態で「やっぱりいいです」と断るのは金融機関などに与える心証も良くありません。
どちらか一方にしたい場合は、審査期間が比較的短い公庫融資に先に申し込むのもおすすめです。

自己資金の確認方法について

融資を審査する際の金融機関における自己資金の確認方法は、独立前の個人の通帳原本を見てお金の流れを遡って確認します。
また、会社を設立した場合、資本金は全て自己資金であるという考えではなく、どのように当該資本金を貯めたのかについて個人通帳がチェックされます。

親族からの資金提供は自己資金として認められますか?

開業資金として親や親戚が一定の資金を援助してくれる場合もあると思います。
これを融資審査上の自己資金として認めてもらえるかどうかは、実は金融機関や融資制度によって判断が異なります。
日本政策金融公庫では自己資金の範囲を比較的広く見てもらえる傾向はあるものの、やはり実際に融資の窓口で相談してみるのが良い方法です。
「本当に親戚から拠出された資金なのか」
「返済義務はないのか」など金融機関がどのような資料や根拠にもとづいて判断するのかにもよります。
「きちんと贈与契約書を作ってください」などアドバイスをもらえることもあります。

借りたお金は自己資金となりますか?

親・友人などから借りたお金は自己資金とはなりません。
なお、贈与によりもらったお金であれば自己資金としてみなられることもありますが、贈与を証明する書類や贈与者への確認も行われます。

無申告の場合でも申請は可能ですか?

過去に税務申告をしていない場合や税金の滞納がある場合、融資審査上はかなり不利になります。
無申告は法令を順守していないことになりますので、コンプライアンスや信用を重視する金融機関や保証協会からは当然に低い評価を与えられます。
無申告のままで融資の申請に進むより、さかのぼって税務申告を行った上で融資にチャレンジした方が良い結果につながる可能性があります。
この辺りの判断は専門家である私どもにご相談ください。

運転資金は何ヶ月分くらいまで融資を受けることができますか?

通常は1?2ヶ月分が妥当ですが、最大でも3ヶ月分までが一つの目安です。
日本政策金融公庫の新創業融資における無担保無保証の制度はどのようなものですか?
法人において、債務者はあくまで法人あり、原則として代表者は保証人となる必要が無く、担保の提供も必要無い制度です。

創業融資を申請するタイミングはいつがベストですか?

創業融資を申し込むタイミングは開業や会社設立の直後がベストです。
事業を開始してしばらくしてから資金不足に陥り、その時点で融資の相談をした場合、すでに事業がうまく行っていないという実績が出来てしまいます。
そのような実績をもとに金融機関が融資判断するのと、まだ開業したところで事業計画にもとづき融資判断するのとでは、やはり後者の方が有利になります。
開業当初にそれほど資金が必要なかったとしても、金融機関との取引実績を作っておくことで、将来的に融資を受けやすくなるというメリットもあります。
そういう意味でも、創業融資を申し込むのなら開業時がベストといえるのです。

必要な事業経験について教えて下さい。

金融機関が事業計画の実現可能性を判断する際には、起業する人がその事業分野で過去にどの程度の経験を積んでいるかを考慮します。
未経験の分野で起業する場合には、事業計画の実現可能性も低いと評価されてしまうのです。
一般的には、起業しようとする分野で従業員などとして5年程度の経験を積んでいれば、十分な経験を有していると判断してもらえます。

事業経験が無い場合、どのような方法がありますか?

起業しようとする分野で過去に経験を有していない場合でも創業融資が受けられない訳ではありません。
しかし、事業経験がない分、何らかの形でそれをカバーすることが必要です。
たとえば、その業界で豊富な経験を有するパートナーと提携することが決まっている場合は、金融機関に対してアピールする材料となります。
また、実績のあるフランチャイズに加盟して研修や指導を受けながら事業を進めるのもプラス評価になるでしょう。
このように事業での成功を裏付ける何らかの材料を用意するのがポイントです。

代表者の信用情報は大切ですか?

事業計画がよく出来ていたとしても、代表者が過去に自己破産をしている場合や、借入返済などで事故を起こしている場合、それだけで融資の審査に落ちることがあります。
そういう意味では代表者の信用情報は大切だといえます。
なお、金融機関は、本人の同意のもと、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)の全国銀行個人信用情報センター、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)などの個人信用情報機関に信用情報を照会することができるようになっています。
そのため、金融機関に隠すのではなく、誠実に情報開示してアドバイスを仰ぐことが得策です。

融資可能性の判断について

融資の可能性についてある程度の予測は出来ますが、あくまで申請してみないと判断がつきません。
仮に、建設業に10年間携った方が、従来からの付き合いで取引先の見込みもあり、コツコツ自己資金として200万円を貯金して来た。そして過去に金融の事故歴が無い場合において、開業当初の売掛金の補填のために、400万の融資を受けたいというご相談のケースは、融資が受けられる可能性は高いですが、融資の申請を出して見ないと分かりません。

融資までどれくらいの時間がかかりますか?

過去に借入実績がある会社が対象となるスピードローンなどは御座いますが、通常は2週間から1ヶ月程度の時間を要します。創業融資の場合、資料作りなどの時間を含めると1ヶ月?2ヶ月前から準備をする方がいいでしょう。

運転資金と設備資金の違いについて教えて下さい。

融資の際には、事業計画の内容、個人の属性、資産状況など様々な観点から審査が行われますが、「資金使途」も融資判断の重要なポイントとなっています。
資金使途というのは「どのようにお金を使うのか」という意味です。
これには大きく分けて「運転資金」と「設備資金」の2種類があります。
運転資金とは、仕入代金、事務所の家賃、人件費など事業運営で恒常的に必要となる資金のことを指します。
これに対して、設備資金とは、店舗の改装費用、製造用機械の取得費用など初期投資に必要となる資金のことを指します。
設備資金を借り入れる場合には、業者からの見積書を金融機関に提示することが一般的です。

設備資金の融資を受けるコツは?

購入する予定の設備見積書が必要です。
基本的には、この見積書が必要となる資金の根拠となります。
また、見積書だけでなく、見積書の内容を詳細に説明した、パンフレットや設備概要書・導入する設備の具体的内容について、書面にて説明すると説得力が増します。

資金の使い道により融資が通る確率は変わりますか?

運転資金と設備資金では、設備資金の方が融資を受けやすいと言われることがあります。
しかし、一番重要なのは資金計画と資金使途が整合していることですので、一概にどちらが有利ということはできません。
ただし、金利、据置期間、返済期間などの融資条件では設備資金の方が優遇される傾向にあります。
そのため、設備資金を水増しするために業者から高めの見積書を入手するケースもあると聞きますが、制度融資によっては設備資金が金融機関から業者に直接支払われる場合もあります。
適切な資金計画にもとづいて事業を軌道に乗せるのが本来の目的です。
あまり策を弄しすぎないのが良いのではないでしょうか。

一度断られても再申請は可能ですか?

まずは融資を断られた原因を分析することが大切です。
その原因となった状況をすぐに解消できるのであれば再申請することも可能です。
しかし、すぐに解消できる原因であれば、そもそも金融機関側から何らかのアドバイスがあるはずです。
融資がおりなかったということは、すぐには解消できない原因があったと考える方が自然です。
通常、金融機関は融資がおりなかった理由を直接は教えてくれません。

考えられる主な原因は
「信用情報が好ましくなった」
「自己資金としてみなされない資金があった」
「事業の見通しや事業計画の出来が良くなかった」などです。
これらの状況を改善するためには半年から1年はかかりますので、体制を立て直して再申請を目指すことが重要です。

融資の申請と許認可の取得について教えて下さい。

許認可が必要な事業では、事業計画の実現が許認可取得に大きく左右されますので、許認可を取得してからでないと融資はおりないと考えた方が良いでしょう。
許認可申請中や許認可取得の可能性が高くなった時点で融資の申請をすることもできますが、仮に審査に通ったとしても、許認可取得できなければ、融資の実行は行われません。
したがって、融資の相談と並行して、まずは許認可取得を進めることが大切です。

個人と法人では融資に影響はありますか?

一般的には、個人事業より法人の方が信用度は高いイメージがあります。
しかし、現行の会社法では資本金1円でも会社設立が可能となっており、一概に法人の信用度が高いとはいえません。
金融機関の審査でも、事業の形態ではなく、経営者自身の資質も含めた事業の実態を見て判断しますので、個人と法人でどちらが有利かということはあまり気にしなくて良いと思います。

融資を受けることが出来ない業種は?

創業融資を受けられない業種というものもあります。
日本政策金融公庫では「金融業、投機的事業、一部の遊興娯楽業等の業種は利用できない」とされています。
また、制度融資の場合は各信用保証協会によって若干の違いがあるのですが、たとえば、東京信用保証協会では「農林・漁業、遊興娯楽業のうち風俗関連営業、金融業、学校法人、宗教法人、非営利団体(NPO法人を除く)、LLP(有限責任事業組合)等、その他当協会が支援するのは難しいと判断した業態」は対象外となっています。
ここで注意していただきたいのは、実際にこれらの事業を営んでいなかったとしても、会社の定款や登記簿の「目的」にこれらの事業を記載しているだけで融資の対象からはずされる可能性があるということです。
したがって、会社の目的を記載するときには、このようなリスクも考え、むやみに業種を盛り込み過ぎないことも重要です。
また、気になる記載がある場合には、事前に公庫や保証協会に相談するのが良いでしょう。

新規創業融資で、いくらぐらいの融資を受られる方が多いですか?

実際に融資を受けている金額は300万~500万以内が多いようです。
しかし、自己資金や業種経験並びに事業計画書(創業計画書)についての条件が揃っている場合は、限度額満額の融資を受けることも可能です。

妻を社長にして融資の申請を出すことは大丈夫ですか?

様々な事情から「妻を社長にしたい」という要望は多いものです。
たとえば、
「自分が勤め人であるため登記簿上に代表者として登場したくない」
「自分はもう融資を受けられない身であるため、妻を代表にして新たな融資を受けたい」
「イメージ戦略として女性社長を前面に出したい」などの事情があります。
ただ、創業融資の観点からは、実際に奥様が事業に参画しないのであれば、奥様を社長にして融資の申請をすることは避けた方が良いと思います。
というのも、創業融資の審査では代表者との面談も重要視されるからです。
奥様が事業について熟知していて、経営についても熱意をもって語ることができれば別ですが、そうでない場合は金融機関との面談も上手くいくはずがありません。

フランチャイズで開業する場合の注意点は?

大手のフランチャイズである場合には創業融資も比較的通りやすいといえます。
しかし、融資の審査はやはり様々な審査項目を総合判断するものですので、自己資金の多寡、業界経験の有無、経営者としての資質などによって影響を受けます。
フランチャイズで融資を受ける場合に特有の注意点としては、金融機関から「主体性がなく、フランチャイズ頼みになっているのではないか」と思われないようにすることが挙げられます。
また、フランチャイズ本部が提供する損益シミュレーションをそのまま事業計画に使わないことも重要です。
フランチャイズの成功モデルを活用しながらも主体的に経営する意欲や、自分でも感覚的に腑に落ちる損益数値を示して、自主性をアピールしましょう。

店舗型創業の場合は競合調査・立地調査は必要ですか?

店舗を出すのであれば、競合調査や立地調査は実施した方が良いでしょう。
特に最近では安価な商圏分析ソフトやASPツールもありますし、通行量調査もリサーチ会社に依頼するほか、簡単な調査なら自身でも実施できると思います。
ただし、創業融資の審査だけに関していうと、必ずしも事業計画に調査結果を含めなければならない訳ではありません。
もちろん、調査結果を金融機関に提出すればプラス評価になる可能性は高いといえます。